ちょいちょい記事にも書いてますが、私はドラッカーが好きでドラッカーの本を良く読みます。その中でも一番好きなのが、今回のタイトル「イノベーションと企業家精神」という本です。
この「イノベーションと企業家精神」という本は、私が一番好きな本なんですが、あまり語られる事がない本だと思います。ドラッカーというと「もしドラ」の本の中にも出てくる「マネジメント」や、実際のビジネスマンがどのように仕事をすべきかを語った「経営者の条件」が有名だと思うのですが、私は断然「イノベーションと企業家精神」を推したいと思います。
では、早速この「イノベーションと企業家精神」という本の内容を紹介したいと思うのですが、この本は大きく二つのパートに別れていて、イノベーションを起こす為にどういった事に着目すべきか?という事について書かれた前半と、実際にイノベーションを起こす為に、会社は何をすべきか?どういう戦略をとり、どういう組織を作ればいいか、という事が書かれている後半に別れます。
で、「イノベーションと企業家精神」前半部。まずのっけから眼から鱗が落ちたのが、イノベーションは技術的な事に限らない、むしろ社会的な影響から考えると、技術的なものでないイノベーションの方が影響力が強いという事。
割賦販売というイノベーションが発明された事によって、消費者の購買力が上がった事。マキャヴェリが「君主論」を書いた事によって、近代政治に大きく影響を与えた事。日本が明治維新の際に技術的な事は海外から輸入し、学校や銀行や労組のような公的機関を整備したから近代化に成功した事が本書「イノベーションと企業家精神」には挙げられています。
このようなイノベーションとは何かという話からはじまり、次にイノベーションを起こす為に、どこに着目すれば良いかについて書かれている。
「イノベーションと企業家精神の7つの機会」
1.予期せぬ成功と失敗を利用する
2.ギャップを探す
3.ニーズを見つける
4.産業構造の変化を知る
5.人口構造の変化に着目する
6.認識の変化をとらえる
7.新しい知識を活用する
この7つのイノベーションの着目点は、同時にイノベーションの成功率順にもなっていて、1が一番簡単で7が一番難しいとなっている。また、1~4は企業や産業や市場内部で発見出来る事となっていて、5~7は企業や産業の外部で見つける事が出来ると書いてある。この7つの着目点を体系的に観察する事によって、「ビジネスになる」イノベーションを起こす事が出来る。
「イノベーションと企業家精神」の後半は、前半に語られた着目点によって着想されたイノベーションのアイディアを実践するには、どのような組織・どのような戦略が必要かという事について語られる。
特に組織については、財務はこういう風にした方が良い、人事に関してはこういう風にした方が良いという多くのアドバイスを得る事が出来るし、その考え方には脱帽せざるを得ない。
最後に、多くの人は仕事の中で、イノベーションとかそういった事に関わらない人が多数だと思う。けれども、特に前半部分のイノベーションの着目点に関しては、自分が仕事をする上で、また仕事以外でも、アイディアを考える時にはどのように考えたら良いか?という事を考えさせられる内容でもあるので、興味のある人は是非この「イノベーションと企業家精神」を読んでみて欲しいと思います。

- 作者: P.F.ドラッカー,上田淳生
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2007/03/09
- メディア: 単行本
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